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その君の、横顔に見惚れた。

月明かりしかない、真夜中の帰り道。
「今日は満月だね。」
そう言って夜空を見上げる君に、
何と答えたらいいかわからない。

ただ、『きれいだ』としか、浮かばない。



「……ヒョン?」
無言なのを不思議に思ったのか、
小首を傾げて俺の顔を見上げる。

「何でもないよ。」

「ウソだ。また寂しくなってたんでしょう?」

「……大丈夫だよ。」


その日がくるのはわかっていたこと。

俺の時と同じように、
リョウクにもその日は訪れる。

それまでに俺に出来るのは、

『大好きだ』って、
『大丈夫だ』って、
『会えない日も心はそばにいる』って、
そう伝えることくらいしかないけど。

いざ言葉にしようとすると、
つい他のものが込み上げてきそうで、
なかなか上手く出来なくてもどかしい。



「……ヒョン?」

「……ん?」

「僕、ヒョンのこと、大好きだからね?」

「……うん。」

「すっごくすっごく、大好きだからね?
この両手じゃ足りないくらい、大好きだからね?」

両手を目一杯広げてそう言うリョウクの瞳はいつもより潤んでいたけれど、それでもその顔は、俺の大好きなキラキラの笑顔だった。


「ねぇヒョン?」

「なに?」

「僕ね? さっきあの満月見てて思ったんだ。
会えない間に寂しくなった時、月を見上げたらきっと今日のこの満月を思い出すな、って。」

「今日の?」

「うん。ヒョンと見た、今日のこの満月。」


夜空に白く浮かぶ満月を、
愛しいもののように眺めながら
微笑む横顔に、また見惚れる。

「離れてても、同じ月をヒョンも見てるかな?って考えたら、ちょっとだけでもヒョンの近くにいるような気になれるかも。」






あと少し。

君が行くまで、あと少し。

君が行っても、月はそこにある。

雨降る夜でも、見えなくても。

会えなくても、同じ夜空の下に、君がいる。

同じ想いの、君がいる。

だから。

想いを、月に託して。



君のもとへ。






ソロでのカムバ目前ということで、
リョウクくん入隊間近のイェウクイメージで。
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2018.11.30 Fri l ◇短編 l コメント (0) トラックバック (0) l top

ねぇ、…ヒョン?


いつだってヒョンは優しいけど、

その優しさがいつも僕の心を救ってくれるって、
知らないでしょ?

いつだってヒョンは優しいけど、

その優しさに時々僕が泣きたくなるって、
知らないでしょ?

いつだってヒョンは優しいけど、

その優しさは時々僕の心を寂しくさせるって、
知らないでしょ?



「わかってるよ。」

少し掠れた、包みこむようなヒョンの声。

そんな風に頭をポンポンってしながら。



……ほら。わかってない。

ここは、ギュッてするところでしょ?

チュッてするところでしょ?



今ここには他に誰もいないのに。









わかってないのは、どっちだ?


いつだってお前はかわいいから、

そのかわいさが俺の元気の素だって、
それはさすがにわかるよな?

いつだってお前はかわいいから、

そのかわいさが俺の心配の種だって、
そろそろわかってほしい。

いつだってお前はかわいいから、

そのかわいさが俺の理性のスイッチだって、
そろそろわかってほしい。




「……わかってない……」

歌う時の、伸びのある綺麗な声とは程遠い、
ふて腐れた声。



……ほら。

その拗ねたみたいなほっぺ。

確かに今、ここには二人きり。

してほしいことなんてわかってる。

でも、それも多分あと数分の後には終わる。



たった数分で、離すなんて無理だろう?








( ̄O ̄;)
また、誰かをちゃんと書いてないっ!
2018.11.29 Thu l ◇短編 l コメント (0) トラックバック (0) l top
"人が人の心を得ることが 最も難しい"


少し高い、優しい歌声がテレビから聞こえる。

きっと誰にでも思い当たることはあるだろうけど、なんだか自分と、隣に座るこいつの事を歌われている気分になる。

普段近くにいる人が歌うから、余計に。




「ねぇ、なんかこの歌って俺らみたい、とかって思われそうじゃない?」

ちらっと、目線だけでその表情を確認する。

いつものほわんとした、柔らかな顔に見惚れそうになって、すぐに視線を画面に戻す。

「そう?」

「うん。だって"かけがえない友達"って。俺もそう思うし。」

「……ふーん。」


胸が、ギュッと音を立てたみたいに軋んだ。

もう、わかってること。

いくら仲がいいと言われても、それがその通りでも。
カップルみたいと言われても、そんな風に振舞っても。

"僕は君にとって かけがえない友達"




だけど。


"君は僕にとって この世でただ一人の人"






「……明日早いから、もう寝る。」

「もう? ……おやすみ。」

部屋のドアを閉める。

リビングからテレビの音が消え、玄関のドアが開き、そして閉まった。

自分の階に戻ったみたいだ。

多分周りからみたら、あいつの方が俺にまとわりついて、俺がそれを手なずけてるみたいに見えるんだろう。

でも、心は。
手なずけられてるのは、俺の方。

だから。

"誰も見ることができない"



深く、ため息をつく。

本当はまだ眠たいわけじゃない。
むしろ眠れるかどうかわからないくらいだ。

それでもベッドに潜り込み、身体を猫みたいに丸める。

じっと、何かから隠れるように、身を守るように息を潜めて、目を瞑る。

さっきの、柔らかな顔を思い浮かべる。

いつか、溢れてどうしようもなくなる気がする。
その日が来るのが怖くて、でもどうしようもない。

そうやってもう、どれくらいの日々が過ぎたのかも、もう忘れてしまった。

毎日、毎日、繰り返す。
出口なんて、きっとない。


そして。

"今日も僕は 君を思い描いて涙が流れる"







名前は出してませんが、誰のことかは察していただけるかな?と思います。
片想い編、です。

モチーフの歌も、SJ好きな方ならわかっていただけるかと。
2018.11.29 Thu l ◇短編 l コメント (0) トラックバック (0) l top