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こんばんは! ごふです( *´ ω ` )

いつもご覧いただきありがとうございます。

最近は拍手をいただくことも多くなりました。読んでくださっている方がいるんだ〜(^ ^)と実感して、ますます妄想も膨らんでおります。
もともと自己満足から始めたサイトではありますが、来てくださった方が萌えどころに共感してくださると嬉しいです。

今後とも、よろしくお願いしますm(._.)m



さて。

このサイトもオープンしてから4ヶ月ほどが経ちました。
通常、奇数日20時に更新をしていますが、この新年度4月から、新たなことを取り入れたいと思います。

それは『センイル企画』です!

メンバーの公式お誕生日のタイミングで、それに合わせてお話を上げたいと思います!




というわけで、第1弾はウニョクさん〜♡

以前連載していた『触れる想い』のその後のお話をお送りします。

タイトルは『君に触れたら』です。

お誕生日に最終話になるように、4/1から4日連続で、全4話をアップします。
こちらのお話、第1〜3話までは鍵付きです。
えっと……そういうことです(〃ω〃)

パスワードは、ページを開いて『パスワード入力』をポチッとしていただくとヒントが出てきますので、そちらを参考にお願いします。

SJが好きな方ならすぐわかると思います。
お手数かけますが、よろしくお願いします。


またこの間は、現在連載中の『好きだなんて言えない』はお休みします。

こちらは4/5の更新から再開します。




ごふ( *´ ω ` )



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2019.03.31 Sun l お知らせなど l コメント (2) トラックバック (0) l top

<DongHae>


『やっぱり若返ったよな? それ、ばあちゃんに言ったら喜ぶよ』


ヒョクから返ってきたメールを見て頬が緩む。

人手不足もあってますます忙しくなっているヒョクも、休みの日にはホームに顔を出しているみたいだ。




リョウクは…ちゃんと眠れたかな?

眠れてるといいけど。



ベッドに寝転がり、目を閉じる。

肩に乗るリョウクの重みと、頬に触れた髪の感触を思い出す。

まるで一緒にここにいるみたいに。


「おやすみ」


一緒に眠ろう。


夢の中でなら、抱きしめてもいい?








カフェでの俺の主な仕事は、カウンターでの接客とドリンク類を作ること。

正式なスタッフになってから、店長に教わってバリスタの勉強もしたし、認定試験も受けた。

今では、店長が店にいるときでも俺がコーヒーを入れることがほとんどだ。

何やら最近忙しそうにしていることも多くて、俺が休みの時以外店長は店に来ないことも増えた。




「これどうかな?」

「んー?新作?」


閉店後、何やら作業をしていたソンミニヒョンが差し出したのは、見た目はいつものシュークリーム。


「そう。味見して?」


パクっとかじりつく。


「ん! いちご?!」


見ると、ほんのりピンク色に染まった生クリームが覗いている。


「うん。季節限定でどうかな?って」

「いいと思う! ちょっと甘酸っぱくておいしいよ!」

「そう? もうちょっと甘い方がいい?」

「ううん。俺、これくらいが好き」


甘くしちゃったら、せっかくのいちごの風味が薄まるんじゃない?


「じゃあ、明日店長のOKもらえたら、明後日から出すね」

「うん、わかった」




ロッカールームで着替えながら、いちごのシュークリームに合う飲み物を考える。

甘いフレーバーラテより、濃いめのカフェラテかな?

それともミルクティーの方がいいかな?





「ドンへ、これ持ってって」


着替えて出てくると、テイクアウトの袋を渡された。


「試作の余り。リョウクとヒョクにあげて」


袋の中には、2つのシュークリーム。


幸せそうにパクつくリョウクを想像して、思わずクスっと笑った。


「どうかした?」

「いや、美味しそうに食べるくせに『こんな時間に甘いものなんて!』って言うんだろうな、と思って」


その言葉にソンミニヒョンが笑った。


「言いそう! でもその苦情はドンヘのところで止めといてね。僕、受け付けないから」

「ひどいそれ!」






ありがとね、ヒョン。




おかげで、今日もリョウクの笑顔に会えそうだよ。



2019.03.31 Sun l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<EunHyuk>


リョウクには、悪いと思ってる。


それでなくても自分の部屋の掃除以外はばあちゃんとリョウク任せだったのに、ばあちゃんがホームに入ってからリョウクの負担は増えた。

それでも、今後衰えていくであろう自分のことを考えて、動けるうちに行動したばあちゃんはさすがとしか言いようがないけれど。



自営業で融通が利くからとか、その分しっかり稼いできてとか笑って言ってくれるものの、雇われ美容師の俺の給料がそんなに急に増えるわけはない。

かと言ってじゃあ時間をやり繰り出来るのかと言われれば、ちょうど産休に入ったスタイリストがいたりして、難しいのが現状だ。



俺に出来るのは、リョウクを気にかけてくれるようドンへに頼むことくらいだ。




……応援できないくせに、こういう時だけ頼りにするのはズルいかな。


でも、あいつのことだ。

俺が言うまでもないと思うけど。

いろいろと鈍いやつだけど、リョウクに関してだけはセンサーでもついてるのかと思う程だし。






家に着くとちょうど日付が変わる頃だった。



暗く静まり返った家の中、物音を立てないように歩く。

冷蔵庫からビールを取り、喉に流し込む。



『今日、一緒にばあちゃんのとこ行ってきた。なんか若返ったよね?』


ドンへからのメールに思わず口元が緩んだ。

確かにばあちゃんは、この年で交友関係も広がりそれなりにホームの暮らしを楽しんでいて、以前より若くなった気がする。

孤独になってしまわないかと心配だったけれど、そんなことはなかったみたいだ。





ふと、キッチンの水切りかごに目をやると、2人分の食器がそこにあった。


……だからか。


さすが、と言うべきか。

リョウクの落ち込みを嗅ぎ取ったのか。

一緒にばあちゃんのところに行って、一緒に飯食って、多分リョウクが眠たくなる頃までここにいたんだろう。

ドンへがうちで晩飯を食うのはいつものことだけど、リョウクが1人でホームに行く日は来ていなかったのに。

ほんと、健気だよ。お前は。

俺でさえ気づかないことでもちゃんと気づいてやれて、きっとリョウクが一番してほしい形で手を差し伸べるんだ。






……なんで、リョウクなんだろう?


ドンへなら、割とよりどりみどりだと思うんだけど。


だってあの顔だし。

優しいし、結構ロマンチストだし。


学生の時だって、女の子に言い寄られるのを何度も見た。

でもドンへは女の子達には目もくれなかった。






俺にはわからない。

そこまで誰かに恋い焦がれる感情が。




冷たいやつなのかな? 俺。

それとも、出会っていないだけ?



恋をしたことがないわけじゃない。

付き合ってきた女の子のことは大事にしていたつもりだし、ドキドキもワクワクもあった。



でも、ドンへのとは絶対的に違う気がする。



きっと苦しいだろうなと思う。

それでも、心のどこかで羨ましいとも思う。





俺にも、そんな恋をする日が来るのだろうか。



2019.03.29 Fri l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<KyuHyun>


まだバイトの身分だからと、そそくさと事務所を出た。


と言っても、院の卒業が近くなったこの頃は大学に行く用事なんてもうほとんどないし、土日なんてもともとバイトの予定しか入っていない。




ずっとお世話になっている、これからもお世話になる建築事務所は、人間関係としてはとても居心地がいい。

その反面、仕事の忙しさと長居する事に抵抗がない雰囲気のせいか、ついついワーカホリックになっている人だらけだ。


今日だって、既に定時を超えてから出先から戻ってきたシウォニヒョンは、これからさらにひと仕事ありそうだったし。

所長のジョンスヒョンに至っては戻ってきてすらいなかったし。




数ヶ月後の自分の姿を思い描いてみる。


ちょっとウンザリしかけたけれど、それでもここでやっていくことに不安はない。




ただ。


また、リョウクに会えなくなるのかな。




リョウクと別れてから、自分が随分と女々しい奴だと知った。

こんな風に思うくらいなら、別れずに済む努力をあの時するべきだった。

釣った魚になんとやら、あの頃は院に入ったばかりの忙しさにかまけていたくせに。

…逃した魚は、やっぱり大きい。





昼間、近くまで行ったのに、顔すら見られなかった。


自転車が勝手に商店街を目指し始める。


もう店は閉まっているかもしれない。


それでも。





信号待ち。

商店街の入り口にあるあのカフェが、渡った向こうに見える。


シュークリームは…さすがに、もう無いだろうけど。


でも、もしまだあったら?

今日こそ、買ってみようか。


土曜日のこんな時間まで残っているとも思えないけれど、それでももしあったら。



そう思った時、店のドアが開いた。


出てきたのは、昼間の店員の彼と、リョウク。

2人とも大きめのテイクアウトの紙袋を下げ、なにか話しながら商店街に入っていく。




青になっても、動けなかった。

その、とても親しげな様子に声をかけられる気がしない。

昼間、あの彼が向かった先はリョウクの所だったのだろうか。




彼の、リョウクに向ける表情に、とても慈しんでいるのだと感じる。

リョウクの、彼に向ける表情に、心を許せる相手なんだとわかる。



あんな顔、久々に見た。


かつて俺にも向けられていたもの。


今はもう向けることはないもの。






信号が、また赤に変わる。



もう渡ってはいけない。


2019.03.27 Wed l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<SiWon>


打ち合わせを終えて事務所に戻った時には、すでに外は暗くなっていた。


「おかえりなさい」


デスクに座るなり置かれたマグカップから立ち上る、コーヒーの香りにホッとする。


「これ、チェックお願いします」


コーヒーと一緒にデスクに書類を置いて、キュヒョンは帰り支度を始めた。


大学院を卒業間近の彼は、俺がここに就職してすぐにアルバイトとして入ってきて、卒業後はそのまま正式なスタッフになる予定だ。


「帰るの?」

「はい。まだ俺バイトなので」


その言い草に、思わず苦笑した。

先輩を本当に先輩と思ってるんだかなんだかよくわからない態度で、でも言葉遣いだけはちゃんとしなきゃみたいな、なんとも言えない小生意気さがかわいいと思う。

頭の回転も早くて、スタッフになったら恐らく即戦力になるだろうとジョンスヒョンも期待しているのだろう。


「冷蔵庫にサンドイッチありますから、よかったらどうぞ」


帰っていくキュヒョンの背中に礼を言い、そう言えば昼もまともに食べられていないことを思い出す。

給湯室の冷蔵庫を開けて紙袋を取り出し、デスクで開けた。




これ……ヒョクチェの家の近くにあるカフェのだ。




最近、ヒョクチェに会えていない。

なんでもお祖母さんがホームに入ったり、同僚が産休に入ったりでゴタゴタしているらしい。

年度が変われば、美容室の人手の方はなんとかなるみたいだけれど。






個人宅や店舗などの顧客が多く土日は仕事になるため、学生時代の友人達とは休みがほとんど合わない。

そのせいか、就職して以来、友人と飲みに行ったり遊びに行ったりというのはめっきり減った。

そんな時知り合ったヒョクチェは、仕事柄土日が忙しいのは同じで、定休日も俺の休日とかぶる。

今では一番よく会う友人になっていた。





ヒョクチェといると、気を張る必要がない。

人間どこか外面というものを作ってしまうものだけれど、何度か会っているうちにヒョクチェの前ではそんなことをしていない自分に気づいた。

それは多分、ヒョクチェ自身がとても素直な人間だからだと思う。

嘘がつけない、と言った方がいいかもしれないが。



仕事中の鏡越しに見るヒョクチェは、また違う。

貪欲に、最善を追い求めるプロの顔。

この仕事が好きなんだろうな、と一目でわかる顔。




『人の生活を、クリエイトする』



以前、ヒョクチェの仕事と俺の仕事がちょっと似ていると話した時、ヒョクチェが言った言葉。

忙しさに追われて目の前の仕事で頭がいっぱいになった時、よく思い返す。

こんな気持ちで書いた設計図で建てる家が、安らぎの空間になどなるはずがないと、思い直す。



……会いたいな。



あの少年のような笑顔が見れたら、疲れが飛ぶ気がする。


メールくらい、してみようか。



時間が空いたらまた飲みに行こう、と。



2019.03.25 Mon l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<DongHae>



あ……落ちてるな、と思った。


土曜日。リョウクがばあちゃんのホームに行く日。




なんでもポンポン遠慮なく言うし、正直言い負かされることも多い。

けど、心配をかけたり気を使わせたりするのが嫌なのか、体調が悪かったり気分が落ち込んでいても表には出さない。



それでも、わかる。

ずっと、リョウクを見てきたんだから。



ホームのばあちゃんのところに行く日、最初の頃は特に落ちてる様子もなかった。

でも何回か通ううちに、あれっ?と思うようになった。

ばあちゃんが家に居なくなって、色々疲れも出てくる頃なんだとも思うけど、それだけじゃない感じ。

もしかしたら気のせいじゃないかと思うくらいの小さな違和感。

話す時の目線の高さとか、ちょっとした会話の間の違いとか。

ヒョクも気づいていないかもしれない。




もしかしてと思って、早めに顔を出してみてよかった。

いつもお客さんがいない時は、ほとんどカウンターで本を読んでいるのに、今日は違った。

手の中に本はあるのに、そこに焦点が合ってない。

なんだか今日はひとりにしちゃいけない気がして、カフェに戻るなり店長に早く上がらせてもらえるよう頼み込んだ。





「今日どうかしたの?」

早く上がると言うと、ソンミニヒョンが聞いた。

「リョウク、なんだか疲れてそうで危なっかしくて…ばあちゃんの所、ついていった方がいいかなって」

「あぁ…疲れ、溜まってくる頃なのかもね…」

「うん……」

「聞いても弱音吐かなさそうだもんね」

「そうなんだよね……言えばいいのに…」



本当に、言ってくれたらいいのに。

言わなくても、見逃したりなんかしないけど。

でも、言ってくれたらいいのに。

俺には。




「ドンヘ、帰りにもう一回ここ寄って?」

「えっ、なんで?」

「晩ごはん、なんか持って帰れるようにしとくよ。まさか疲れてるリョウクに作らせる気?」

「いや、どっかで食べて帰ろうかと…」

「疲れてるなら、早く家に着いた方がいいんじゃない?」


ゔ……確かに…

ありがたく甘えることにして礼を言うとドアベルの音がして、ランチタイムの幕が開いた。








……やっぱりついてきてよかった。


ホームでのリョウクは、良くも悪くもいつも通りだった。

ばあちゃんに会って嬉しそうにする、よく気のきくかわいい孫の顔。

でも、疲れや寂しさをばあちゃんに気取らせないようにしているのは、ふとする表情や仕草でわかってしまう。

部屋のドアを開ける前の、一瞬のため息とか。

ばあちゃんが見ていない時の、ちょっとだけ伏せた目とか。




帰りの電車。

運良く空いていた座席に並んで座ると、有無を言わせずリョウクの頭を俺の肩に乗っけた。


「えっ……なに?」

「着くまで寝なよ」

「いや…大丈夫だよ?」


起き上がるな、ってば。

…強情だなぁ、本当に。


「今日だけタダにしとくから凭れとけって」

「…………」


なに? その、きょとんとした顔。

かわいすぎるんだけど。


照れたように俯いて、リョウクはそっと俺の肩に頭を預けた。


「ドンヘ……ありがと」

「ん?」

「ありがと」

「…うん」




少しすると、肩の上の重みが増した。

無防備に寝入ったリョウクの髪が、頬をくすぐる。




俺のそばで、安心して眠れるんだね。


嬉しいけれど、すごく切ない。





でも俺は


この時間がずっと続けばいいと


願わずにはいられない。










昨日・今日とドドドーっと拍手をいただきました。
ありがとうございます(*^^*)

本当に、がんばろう!ってなりますね。

リョウクちゃんじゃないですが、
これからももっともっと努力するごふになります!



2019.03.23 Sat l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<RyeoWook>


昼前に来るなんて珍しい。

いつもランチタイムのピークが過ぎてからなのに。



土曜日だからといって、うちは特に客足が増えるわけでもないけれど、商店街自体の人通りが多くなるせいか、なんとなく忙しない気がする。


「ちょっと暇になった隙に来たんだ。土曜は昼過ぎも休憩取れるか微妙だし」


そう言ってドンへが差し出した袋の中には、お気に入りのシュークリーム。

口角が勝手に上がる。


「あとで行くんだろ」

「うん。4時には閉めて行くよ」

「じゃあ店寄って。ばあちゃんの分とっとくから」

「ありがとう」





祖母は、先月からホームに入った。

しっかりものの祖母らしく、いつのまにか自分で資料を集め、いつのまにか手続きを済ませ、僕たちに話した時にはすでに引越し業者の手配まで終わっていた。

なんでも、祖父が生きていた頃から積み立てていた資金が満期になったらそうしようと決めていたらしい。

年老いていくに伴って生じるであろうあれこれに、僕たちが戸惑わないように。

この店舗兼自宅の名義までもが、兄と僕の共同名義になっていたのには本当に驚いた。

と同時に、やっぱりなんだか寂しかった。


祖母の、愛情の形が。

『世話をかけないように』だなんて。






突如変わった生活リズムに、なかなか慣れなくて困る。


家のことは祖母と分担してやってきていたつもりだったけど、いざ祖母がいなくなってみると、随分と頼っていたことを実感した。

もしこのまま一緒に暮らし続けたとして、さらに祖母の介護が加わっていたのかもと考えれば、その判断は懸命だったのだとわかった。



兄に頼るのは、現実的に難しい。

それでなくても朝は早く、夜は深夜になるのもザラで寝るためだけに帰ってきているようなものに。

休日にはいろいろ手伝ってくれるものの、慣れていない家事に手こずっているのを見ると、ついつい僕がやってしまう。

そこは、僕の性格の問題でもあるけれど。





忙しくても週に2回は祖母のところに顔を出す。

なにかと用事もあるし、なにより顔を見たい。

祖母は祖母なりにホームでの生活を楽しんでいるようで、すっかり友達もできて若返ったみたいだ。






「いらっしゃい」


ホームに行く前にカフェに寄ると、珍しくカウンターにはパティシエの姿があった。


「こんにちは。ドンへは?」

「もう上がるよ。待ってて、って」


この店の美味しいサンドイッチやスイーツは、すべてこのソンミニヒョンの手によるものだ。

いつも柔らかな笑顔の彼は、店長の甥っ子だという。


「リョウガ」


着替え終わったドンへが、テイクアウトの袋を持って奥から出てきた。


「今日、もう終わったの?」

「うん。行こ?」

「…えっ…?」


ドンへに背中を押され店を出る。

祖母に持っていくスイーツを取りに来ただけなんだけど…

ドンへは袋を僕に渡すことなく、一緒に駅に向かおうとする。


「俺もばあちゃんに会いたいし。一緒に行く」




……ああ、バレてるんだね。


疲れていたり、気分が落ちていたりすると、ドンへにはすぐバレる。

兄や祖母でさえ気づかない時でも。

いつものドンへは、どっちかと言えば空気は読めない方なのに、必ず気づいてくれる。


そして、甘えさせてくれる。



1人でホームに行くのは、寂しい。

楽しそうに過ごしている祖母を見るのは、ホッとする一方で複雑な気分になる。

帰りの電車も、誰も待っていない家も、苦手だ。





今日は、ドンへがいてくれる。


きっと帰りの電車も寂しくない。


そして当たり前のように、


一緒に帰ってご飯を食べるんだ。


2019.03.21 Thu l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<KyuHyun>


土曜日。

バイト先の玄関を開けようとしたら、向こうから勝手にドアが開いた。


「おはよう」


ちょうど出かけるところだったらしい先輩は、今日も必要以上に爽やかな笑みを浮かべている。


「おはようございます。いってらっしゃい」





大学院に入る前から働いているバイト先に、院を卒業した後もそのままお世話になることになった。

アパートからも近いし、就職活動を改めてすることを考えれば、こんなありがたいことはないけれども…

内定をもらった途端に人使いが荒くなったような感じがするのは気のせいだろうか。


「キュヒョナ。ランチにサンドイッチ、買い出し行ってきて」


……ほら。

今来たばっかりだというのに、これだ。


「今日は寄り道はダメだよ。12時には僕出るから」


口角を上げ、片方だけ笑窪を浮かべてそういうこの人が、ここのボス。


「ローストチキンのやつね」

「はい…」


他の人の希望を聞いて回り、結局コートも脱がず、リュックも降ろさないまま再び事務所を出て自転車に跨った。






自転車で10分。

自転車なら結構近いんだよな…なんて思いながら、目当ての店を目指す。

直線距離はそう遠くないのに、路線が違うから電車だと乗り換えが必要で、なんだかんだで30分以上はかかる。

商店街の一番端、大通りに面したカフェに入った。


「いらっしゃいませ」


少女漫画から出てきたみたいなキレイな顔をした店員が、カウンターの中から声をかけてくる。


「テイクアウトで」


目当てのものを伝え、窓際の椅子に座り用意ができるのを待ちながら、店内を見渡す。

午前中にも関わらず半分ほど埋まっている店内は、20席くらいとそれほど広くはない。

昼時や夕方には、この店のサンドイッチやスイーツ目当ての女性達でいつも埋まっている。




……ふとショーケースに目をやった。


今日は、まだある。


リョウクの好きな、シュークリーム。




自分で買ったことはない。

あの頃、週末よくお土産だと買ってきてくれた。

リョウクが来なくなって、食べることはなくなった。




ここに来るたびに迷う。

売り切れていれば、無いなら仕方ないと言い訳が立つ。

今日は……寄り道はダメだと言われたし。


ここから商店街に入って100mも行けば会える。


……だから、今日はダメだってば。




「お待たせしました」


会計をし商品を受け取って店を出る。

自転車に跨って、商店街と反対方向にハンドルを切ると、すぐに赤信号に捕まった。


ー チリン チリン ー


ドアベルの音に振り返ると、さっきの店員がテイクアウトの袋を手に店から出てきた。

商店街に入っていくのをなんとなく見送る。


どこに行くのかな…


なぜだか、気になった。

俺が行きたい方向へ向かう彼が、うらやましかった。





別れてからの方が、たくさんリョウクのことを考えていると思う。

あの頃は、大学にいない時間さえ頭の中は研究のことでいっぱいだった。

それでも、リョウクがずっとそばにいることを疑ったことなどなかったのに。





離れてしまった距離を、どうしていいかわからない。


もう一度、と言う資格が、俺にあるのだろうか。






信号が、青に変わる。


商店街に背を向け、ペダルを踏んだ。



2019.03.19 Tue l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<EunHyuk>


最初は、意味がわからなかった。


ただの美容師と客の関係なのに、いきなりご飯に誘ってくるとか。

ナンパじゃあるまいし。

いや、ある意味ナンパなのかもしれないけど。




勢いに押されて頷いてしまうと、あとはあっという間に約束を取り付けられていた。

今更断るわけにもいかないし、どう断っていいかもわからないし、頑なに断る必要もそもそもないし。




今でこそだいぶ慣れてきたけれども、最初の頃はシウォンの振る舞いに戸惑うことは多かった。

だってあいつ、エスコートするんだ。

俺を。

いわゆるレディファースト的なやつを俺に対して。

そんな扱い誰からもされたことなんかないし、やる意味がわからない。

もしかして俺をそういう意味で見ているのかと思ったこともある。

でも次第にわかったことは、シウォンは誰に対してもそうだということだ。



ジェントルマンを地でいく男。

ちょっとオーバーなくらいが似合う男。

それが、チェ・シウォンなんだと思う。





「なんか疲れてるね…」

「ん? ああ、まぁ、お互い様だろ?」


建築士のシウォンは、大学の先輩の事務所で働いている。


「今回はなんだったの?」

「カフェの建て替え。って言っても、ご主人がご高齢になってきたから、テイクアウト専用の洋菓子店にしてその分住居併設に、ってやつ」

「リフォームじゃなくて?」

「うん。古い建物だったから耐震の問題とかあって、建て替えた方が良かったんだよね」

「そういうもん?」

うちも、結構古いよなぁ…。築何年だ?

「まぁ物件にもよるけれど…。リフォームよりまっさらから建てる方が好きに出来るのもあるしね」

「ふーん」




他の人の仕事というのは、面白い。

職業柄いろんなお客様と話をするから、世の中にはこんなにもたくさんの仕事があるのかといつも思う。

自分の知らない世界に触れるのは、楽しい。

時々お得な情報を教えてもらえることもあるし、買うパソコンの相談に乗ってくれたお客様もいた。




シウォンは、鏡の前ではほとんど話さない。

いつもじっと、俺の手元を見ている。

どうしてか前に聞いたら、

「どんな風になっていくのか、その過程を見たいんだ」

と言った。

「俺の仕事と、ちょっと似ていると思う」

とも。





完成形のイメージを、膨らませる。

そのためにどの部分をどうするか、細かく組み立てていく。

土台から順番に、整えていく。

全体の形が大きく出来たら、そこに変化をつけていく。

より、その人に合うように。



なるほどね…


「むしろ、一緒かも」


俺の言葉にシウォンは目を見開いた。


「人の生活を、クリエイトするんだから」


シウォンの口角が上がり、


大きな目が、柔らかく弧を描いた。


2019.03.17 Sun l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<RyeoWook>


お気に入りのシュークリームを頬張りながら、ドンヘと話をする。


ランチには遅い、でもおやつにはちょっと早い時間帯。




ドンヘが仕事の日には、いつもコーヒーとスイーツを持って来てくれる。

ここのは、甘さ控え目で何個でも食べられそうなほどどれも美味しい。

特に、2種類のクリームが入ったシュークリームと、シュー生地を一緒に巻き込んだロールケーキが人気だ。

よく売り切れになっているから今日はラッキーだったということだろう。



「今日暇だったの?」

「いや。なんで?」

「だってシュークリーム」

「ああ。最近昼ころには売り切れるからさ、開店してすぐに買って、取っておいたんだ」

「…いいの?」

「たまになら」




ドンヘは、人の心を暖かくする天才だと思う。


僕よりも子どもみたいだったり、大丈夫かなぁと思うことも多々あるけれど、この人の存在に癒されていると感じることは多い。



「じゃあ、明日はガトーショコラがいいなぁ」

「……あったらね」

「やった! ありがと、ヒョン♪」

「ぅわっ、そういう時だけヒョンとか言う…」






ドンヘをヒョンと呼んだことはほとんどない。


うちに来るようになった頃は、ドンヘさんって呼んでいたけれど、しばらくしてヒョンと呼ぶようになった。

その頃にはもうしょっちゅううちでご飯を食べていて、食事中話をしていると困ったことが起こるようになった。


ヒョン、と呼ぶと、2人がこっちを向くのだ。


最初は面白かったけれど、何度もとなるとさすがにうんざりしてきて、僕はまたドンヘさんと呼ぶようになった。


そうしたら言われたんだ。

『ドンヘ』って呼んで、って。


頼りになるんだか微妙なこともあるとはいえ、そこは一応年上なわけだしさすがに呼び捨ては躊躇われた。

でも、『仲悪くなったみたいでイヤ』と八の字眉で言われればイヤだとは言えない。

この人の、こういうところが本当に憎めないなぁと思う。





「ねぇ、今日なんか食べたいものある?」

「ん?……そうだなぁ…」

「あ、カレーでもする?」

「えっ…それなら俺、シチューがいい」

「え、ダメー。もうカレー気分になっちゃったもん」

「じゃあ聞くなよぉ」


そう言って、今日もドンヘは眉を八の字にして笑う。





多分、この人が一番僕に甘い。


祖母よりも、兄よりも。


大きなブランケットみたいに、暖かくて優しい。


いつも味方でいてくれると、無条件に思える。


いつも味方でいてあげたいと、心から思う。




ちょっと抜けてて、なんだかかわいい


でも憎めない


大切な、兄貴。




僕の、もう一人の兄貴。










昨日、まとめて拍手を下さった方がいらっしゃったみたいです。

あー、読んでいただいているんだなぁと実感して嬉しくなりました( *´ ω ` )

ありがとうございました。

おかげで少し浮上しました^^

今後もよろしくお願いします(*^^*)





2019.03.15 Fri l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top