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いつもご覧くださりありがとうございます。

ごふです( *´ ω ` )


平成最後の日の今日4月30日、
累計1000拍手をむかえました〜!!ヽ(´▽`)/

これもひとえに、お話を読みに来てくださっている皆さまのおかげです。

本当に、ありがとうございます(*^_^*)

これからも、拙い文章の自己満足FFではありますが、妄想の続く限りがんばっていきますのでよろしくお願いします( *´ ω ` )




1000拍手目を踏まれた方〜、

こちらのコメ欄(鍵コメ)でも、ツイッターのDMでも構いませんので、ぜひご連絡いただければと思います。(もし、なにかリクエストがありましたらぜひ)



皆さま、ステキな令和をお迎えくださいね(*´꒳`*)




ごふ






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2019.04.30 Tue l お知らせなど l コメント (0) トラックバック (0) l top

<RyeoWook>



前髪に触れられる感覚に、目が覚めていく。


「……ドンヘ…?」


ゆっくり目を開けると、そこには困ったような顔をした兄の姿があった。


「ヒョン…」

「どんな?」

「うん…少し楽になったかな…」


額に置かれた手が、冷たくて気持ちいい。


「まだ熱はあるみたいだし、無理すんなよ」



この兄の、ちょっとぶっきらぼうな優しさが好きだ。

少し突き放し気味の、でも絶対に気にかけてくれているとわかる絶妙な距離感。


「おばあちゃんは?」

「うん、行ってきた。大丈夫」

「ごめんね」

「いや、こっちこそ。お前だって店もあるのに、ばあちゃんのことほとんど丸投げでごめんな」


首を横に振る。

それは、仕方ない。

店を早く閉めたり、なんなら臨時休業にしたり調整ができる僕の方が動けるのは当然なのだから。

それに、最近のヒョンはちゃんとわかってくれてる、って思えるし。




「なんか食べたか?」

「うん…ソンミニヒョンがお粥作ってくれた」

「そっか」



せっかく美味しいだろうに、熱のせいかほとんど味がわからなかった。

でも、久しぶりに誰かに作ってもらったものは、それだけで美味しい気がするから不思議だ。

今度、ちゃんとお礼しなくちゃ。






もう1人。

ありがとうを言いたい人の顔が浮かぶ。


「…ヒョン……ドンヘは?」

「さっき帰った」

「そう……」





今日、ずっといてくれた。


こんな風邪久しぶりだから、きっと1人じゃ心細かったと思う。

でも、ドンヘがいてくれると思うだけで安心できた。


そっか。

帰ったのか…






「なんかあったら呼べよ」

「うん」



そう言って立ち上がり部屋を出ようとしたヒョンは、ドアの前で足を止めた。


「リョウガ」

「ん?」


振り返ったヒョンの表情が、暗くてよく見えない。


「…今日、なんかあった?」

「…えっ? なにかって…」



……あ……



「……大学の時の友達が来たけど…」

「友達?」

「うん…」

「…そっか」


なんでそんなこと聞くんだろう…


「なに?」

「いや、なんでもない。おやすみ」

「うん」







ヒョンがドアを閉める音に、昼間のことを思い出した。


キュヒョンのことを、忘れていた自分にびっくりする。





『リョウクは俺とどうなりたいの?』



答えに困っていたらドンヘが来て、ちょっとホッとしたんだ。

あの場ですぐ答えられるとは思えなかったから。




キュヒョンは、戻りたいと言った。

やり直したい、と。



……僕は……



…きっと、すぐに答えが出ないことこそが、答えなんだと思う。

少なくとも、やり直したいとは思っていない、ということだ。

ただ、じゃあどんな関係が今更築けるというんだろう?

それがわからない。



正直言って、ドンヘが入ってきて助かったと思ったんだ。

あまりにもの絶妙なタイミングでびっくりし……




「……え……」



まさか……




話…ドンヘに……聞こえてた…?




そんな……どうしよう?




2019.04.30 Tue l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<EunHyuk>


面会時間に間に合うように少し早めに上がらせてもらって、ばあちゃんのところに顔を出してから帰宅した。

リビングもリョウクの部屋も明かりがついていない。

ドンへももう帰ったんだろう。



大きな音を立てないようにそっと家に入り、リビングの電気をつけた。


「うわっ!」

……いるんじゃねーか…びっくりさせんなよ…

「…なんだよお前、電気もつけないで」


座り込んで立てた膝に肘をつき、頭を抱えて動かない。


「ドンへ? 寝てんの?」


不思議に思って顔を覗きこもうとしゃがんだ途端、ドンへが抱きついてきた。


「ちょっ!なんだよ!」


ひっくり返りそうになったギリギリで抱きとめる。


「あっぶねーなー。おい、ドンへ」


ただぎゅうぎゅう抱きついてくるだけで、何も言わない。


…何なんだ?


「……っ……」


……泣いてる?


「ドンへ…? どうした?」

「…ヒョク…」

「ん?」

「…俺……もう苦しいよ…」

「何が?」

「……ごめん、ヒョク…でも、好きなんだ…」


……リョウクか。


「うん…知ってる」

「ずっと…リョウクだけ…」

「うん」

「…ずっと…好きで…」

「うん」




わかってる。


こんな一途なやつ、俺、他に知らないもん。

こんな風に想われたら、幸せだろうと思うもん。


…何かあったのかな。


もしかしたらドンへは、このまま一生リョウクを思いながら、兄貴のように見守るつもりなのかと思ってた。

それが、こんな風に泣くなんて。




「…ごめん…今だけ…」

「うん」

「…好き……好きだよぉ…」






ドンへは、ただ"好きだ"と繰り返した。


ドンへの気持ちは気づいてはいたけれど、

本当にずっと、リョウクを想っているのはわかってはいたけれど、

それでも、繰り返されるその言葉の切実さに、涙が出た。



こんなにも、本当は言いたかったのか。

これだけの想いを、押し込めて来たのか。



リョウクを見つめてきた時間の分だけ積み重なったものが、もう堪え切れなくなって崩れたのかもしれない。






ずっと、ダメだと思ってた。


ドンへには悪いけど、リョウクが望むならまだしも男同士なんて、って。


でも、こんなにも想っているのに報われないなら、ドンへが不憫すぎる。






なぁ、リョウク。


ドンへを、愛してやってよ。


それなら俺も応援できるのに。


弟の、親友の、両方の幸せを願ってやれるのに。



2019.04.29 Mon l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (0) トラックバック (0) l top

<DongHae>



扉の向こうから洩れ聞こえる会話に、耳を疑った。


「……それは、やりなおしたいってこと?」


…こいつが、リョウクの恋人だったってこと?

だって……男じゃん…


「……僕は…」



ー コン コン ー



それ以上聞きたくなくて、リョウクに言わせたくなくて。


ドアを開けると、戸惑っているリョウクと目があった。



リョウク、そいつが好きだったの?

今もまだ好きなの?

……男でもいいなら、俺じゃダメなの?




「…リョウク、薬」


コクンと小さくリョウクが頷いた。


「…具合が悪い時にごめん。でも考えておいて」

「……うん」






部屋から出ていったそいつがドアを閉める音を背中に聞いて、リョウクに近づいた。


「ごめん、話の邪魔したかな?」


薬を渡しながら、ベッドに腰掛ける。


「ううん。ありがとう」


ほっとしたようなリョウクの微笑みに、胸がぎゅっとなる。


「もう少し、寝たら」

「うん」


もう一度目を閉じたリョウクは、しばらくしてスースーと寝息をたて始めた。







その表情を俺に見せるのは、安心しきっているからだよね?

心を許してくれているのは、嬉しい。



でも、だからこそ苦しい。




寝入ったリョウクの部屋をあとにする。


そっか…俺じゃダメなのは、男だからじゃない。

ただ、俺じゃダメだ、ってだけなんだ…









夜。


リョウクは、少し落ち着いてはきたけれどまだ熱はある。

昼間よりは食欲は戻ったようで、ソンミニヒョンが作ってくれたお粥を食べて薬を飲むとベッドに戻った。



ヒョクはまだ帰らない。

別に待っていなきゃいけないわけじゃないけど、なんだか無性に親友の顔が見たかった。




ヒョクはきっと、ずっと前から俺の気持ちに気づいている。

でも、口にはしない。

面と向かって言いはしないけど、俺のその気持ちをよく思っていないことはわかってる。


ずっと大事にしてきた弟だ。

いつかかわいい子と結婚して、幸せになってほしいと思うのは当たり前だ。

俺の気持ちは、ぶつけたらいけないもの。

知っていても、何も言わずに、変わらずに、友達でいてくれるだけでもありがたい。







ヒョク……


今日だけ、ただの俺の親友でいてくれないかな?


兄貴の顔を、ちょっとだけしまって、俺に寄り添ってくれないかな?


この恋の辛いのは、親友にも応援どころか慰めてももらえないところにもあるんだ。




だからさ、頼むよ。



2019.04.28 Sun l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<RyeoWook>


「リョウクは俺とどうなりたいの?」


キュヒョンのその問いは、思ってもみなかった。


「……え?」

「ただの他人? 友達? それとも恋人に戻る?」

「…………」

「俺は、戻りたい」



……え……それって…まだ僕を好きってこと?


僕を見つめる瞳の中に、あの頃の僕が見たかった色が見える。


どうして今…?



「……それは、やりなおしたいってこと?」

「そう。リョウクは?」

「……僕は…」





ー コン コン ー



部屋のドアが薄く開いた。


「…リョウク、薬」


遠慮がちに隙間から覗いた八の字の眉に、思わずホッと息をつく。


「…具合が悪い時にごめん。でも考えておいて」

「……うん」


キュヒョンはドンへに軽く会釈をすると、部屋を出ていった。







…あいつ、やりなおしたいって言った。


そんなこと今更言うと思わなかった。


だって、あんなにあっさりと別れ話に頷いたのに。







「ごめん、話の邪魔したかな?」


ベッドの端に座りながらドンへから薬を受け取る。

マグカップからは微かに湯気が立っていた。

あ、わざわざ白湯にしてくれたんだ…

少しあったかいその温度は、ドンへの優しさの温度みたいで、ちょっと頬が緩むのが自分でもわかる。


「ううん。ありがとう」


顔を上げると、なんだか不安そうに僕を見るドンへと目があった。


……今にも泣きそうに見えるのはなんでだろ。


ごめんね…

心配、かけちゃってるよね…


「もう少し、寝たら」

「うん」


ベッドにもう一度潜り込む。


大丈夫だというみたいに、かけ直してくれた布団の上をドンヘがポンポンと軽く叩いた。


それだけで、なんだかとても安心して目を閉じる。








『リョウクは俺とどうなりたいの?』


……キュヒョンからの、宿題。


どうなりたい、か…

どうなりたいんだろう。

会いたくない、わけじゃない。

好きだった人だもん、嫌いになったわけじゃない。

いい所もたくさん知ってる。もちろん悪い所も。




考えようとしても、熱でふわふわした頭はそれ以上うまく回ってくれない。


布団の上に乗った、ドンへの手のひらの重みが気持ちよくて、僕はそのまま眠りについた。



2019.04.26 Fri l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<KyuHyun>



シャッターがあるわけでもなく、古本屋というよりも、老舗の喫茶店のような雰囲気の店構えだといつも思う。


閉まったままのドアには、リョウクとは違う文字で書かれた"臨時休業"の張り紙が貼られている。


風邪と聞いて勢いでここまで来てみたはいいけれど、どうしたものか。





迷っていると、ドアに嵌められたガラスの窓越しに人影が見えた。


…あの、ドンへっていう人。


ドアを開けた彼と目があって、軽く会釈をする。


「…どうも」

「あ…こんにちは」

「リョウク…風邪ひいたって聞いて…」

「あぁ…はい。あの…リョウクの友達だったんですね」


…友達……ではないんだけどな…


「寝てます?」

「いえ、起きてますよ。階段上がって、一番奥の部屋です」

「あ…はい」

「あの俺、ちょっと買い物に行ってくるので」

「はい」






彼の背中を見送って、中に入る。

相変わらずのノスタルジックな店内は、今日は照明がついていないこともあって、なんだか不気味な雰囲気だ。



階段を上がって住居部分に行くのは初めてだ。

やっと、リョウクの領域に入れた気がして妙に気分が高揚する。

リョウクは、嫌がるかもしれないけれど。







ー コン コン ー


「はーい?」


弱々しい声にそっとドアを開けた。


「……俺…」

「……キュヒョナ…なんで?」


熱があるのか真っ赤な顔をして、リョウクは布団から起き上がった。


「風邪…大丈夫か?」

「あぁ…うん…」

「薬は?」

「今…買いに行ってもらってる。キュヒョナ…どうして?」

「カフェに行ったら、お前が風邪だって聞いて」

「だからって…なんで?」



心配しちゃ、悪いのかよ。

好きな人に会いに来ちゃいけないのか?



「…前は、こんなことなかったじゃない。心配するのはいつも僕の方で、キュヒョンはどこか飄々としてて…」

「……それは、ごめん」

「別に、謝ってほしいわけじゃないんだ。ただなんていうか……正直戸惑ってる。別れてからの、キュヒョンに」

「戸惑う…?」

「うん。キュヒョンの方からこっちに来たりなんて、無かったじゃない? なのに…」




あぁ…やっぱり。

伝わってないんだ。

多分付き合ってた時でさえ、リョウクは俺の気持ちを信じてなかったんじゃないだろうか。

あの時、別れ話をされて当然だったんだ。



「じゃあ、どうしてほしい?」

「え…?」

「リョウクは俺にどうしてほしいの? もう会いたくない?」

「キュヒョナ…?」



どうか……間に合って。



「リョウクは俺とどうなりたいの?」




失わないための、賭けに出た。



2019.04.25 Thu l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (2) トラックバック (0) l top

<SungMin>



うらやましい、か……


ヒョクの気持ちも分かる気がする。

ただし、僕がうらやましいのはドンへじゃなくてリョウクの方だけど。

あんな風に、一途に誰かに思われてみたい。

多分僕も、愛される方が幸せになれるタイプなんだと思う。




「ヒョンー?」


裏口のドアが開いて、ドンへが入ってきた。


「……早くない?」

「あー、ヒョクからメール貰ってすぐ来たから。鍵、ある?」


ヒョクから預かった鍵を渡す。


「結構しんどいみたいだよ。お粥でも作るから、後で一回取りに来て」

「ありがとう。助かる」


そう言って、そそくさとドンへはリョウクの所に向かった。

献身的、ってああいうのを言うんだろうなと思う。

単に甘いとも言うけど。




開店準備の続きに取り掛かる。

焼きあがったシュー生地の半分にいちごクリームを絞り入れて、いちごのパウダーを薄く振る。

もう半分には、生クリームとカスタード。

開店してしまえば、オーダーやサンドイッチ類で手一杯になるから、スイーツは開店前に全部終わらせなくてはいけない。

出来上がったシュークリームを他のものと一緒にショーケースに並べたら、サンドイッチの具の準備。

やることはいっぱいある。





ヒョクだけじゃない。

僕だって、仕事ばっかり、自分ばっかりだ。

それにこの先仕事だって、どうなるのかわからないんだし。

拡張工事が決まってから、ここはどうなるのかよく聞かれるけれど、聞かれても答えられないし、続けてよと言われてもそうしたいのは僕だって同じだ。

この商店街の中でどこか借りれたら一番いいのだけれど、あいにく貸しに出しているところはない。




「…え、ドンへさん、ですか?」

カウンターからバイトの子の戸惑う声が聞こえて、どうしたんだろうと思った。

「あれ…あなた…」

「こちらの方がドンへさんはいないのかと…」


例の、ドンへを気にしてた院生の彼。


「いえあの、今日はいないんだなと思っただけで…」

「ドンへなら今日は休みですけど?」


バイトの子をテーブルの片付けに行かせ、その場を引き受けた。


「あ…そうですか…」

「何か用事なら、商店街入っていったとこの古本屋に行けばいますけど?」

「え……あの……それって、リョウクの?」

「リョウクの知り合い?」

「ええ。大学の同期で」


世間って、意外と狭いものらしい。


「あの…ドンへさんはなんでリョウクのところに?」

「あぁ…リョウク風邪で寝込んでるらしくて、様子見に行ったんですよ」

「え……風邪?」

「はい」

「……あの、頼んだもの後で取りにくるので、お願いします」

「えっ? あ…はい」


彼は足早に店を出て商店街に入っていく。


「……リョウクって…結構モテるんだ…」



うん。

やっぱり僕がうらやましいのは、リョウクの方だ。



2019.04.24 Wed l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (0) トラックバック (0) l top

<EunHyuk>



「リョウガー?」


この時間になっても起きてこないなんて珍しい。

どうかしたのか気になって、リョウクの部屋のドアを開けた。


「ヒョン……」


リョウクは顔を真っ赤にして、ベッドで布団に包まって震えていた。


「風邪か?」

「うん。そうみたい…」

「…今日は店休めよ。臨時休業の張り紙しておくから」

「うん。ヒョン、寝てれば大丈夫だから行って。時間でしょ?」

「うん……」


そうは言ってもな……

ポケットからスマホを取り出し、思い浮かんだヤツの名前を呼び出す。



『リョウクが熱出して寝込んでる。悪いんだけど、後で様子見てやって?』

『わかった。俺、今日休みだからそっち行く』


……マジか。なんてタイミング。




駅に向かう途中でカフェに寄った。


「リョウク、風邪?」

「うん。これドンへに渡して」


ばあちゃんが使ってた家の合い鍵をソンミニヒョンに預ける。


「ご飯、自分で作れそうだった?」

「うーん…どうだろう?」

「じゃあドンへに何か持たせるね」

「ごめんヒョン。助かる」



昨日の夜、寒かったからかな?

それでなくても、毎日ばあちゃんの病院に顔出したりして慌ただしいし。

リョウクが風邪ひくのなんていつ以来だろう。

日頃から体調管理にはうるさくて、家の冷蔵庫には体にいいドリンクとかどこの通販?ってのが必ず入っているくらいなのに。

……やっぱり、もうちょっと俺がなんとかしなきゃな……



「ヒョクは大丈夫? 相変わらず忙しいんだろ?」

「まぁね……春なのに浮かれる暇もないよ」


俺のその言葉に、ソンミニヒョンはくすっと笑った。


「なに? 浮かれたい気分なの?」

「仕事ばっかり、自分ばっかり、って最近反省したとこ」

「ふーん」

「…ちょっとさ、うらやましくて」

「…ドンへ?」

「うん」


あんな風に誰かを想えたら、俺の毎日も変わるだろうか。


「まあ、リョウクの側にいるために生きてるもんね、完全に」

「うん」

「……でもヒョクはどっちかというと、ドンへよりリョウクと同じタイプだと思うけど?」

「どういうこと?」

「愛される方が幸せになれるタイプ?」



え……

なんでここで、あれを思い出すんだろう?



「……なにそれ…」

「なんとなくね。ほら、電車! 時間!」

「あっ…!」







大急ぎで駅に走る。

息が切れて、心臓がバクバクいってる。



……だから、そんなんじゃない。



あの夜のあいつの、

暖かかった腕を思い出したのは、

ただの偶然だ。



2019.04.23 Tue l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (0) トラックバック (0) l top

<RyeoWook>



「えっ…閉店?」

「最悪ね……俺、仕事どうしよう…」


いつものように、夕飯を食べに来たドンへが話した内容に、驚いた。


ドンへの働くカフェがなくなる。


すぐにではないけれど、移転先を探すのも難航しているらしく、最悪閉店になるらしい。


「美容師は? 資格はあるんでしょ?」

「今更? …まぁ、最後の手段ではあるけど、正直バリスタの方がいい…っていうかあそこから移りたくない…」


そうは言っても、建物自体が取り壊しになる以上それは無理な話だ。


「せめてすぐ近くで出来ればいいんだけどね…そうも言ってられないみたいで…」

「結構常連のお客さんついてるのにね…」

「そうなんだよね……場所離れちゃったら、わざわざ足延ばさないよね…」


あの店なら、多分移転してもそれなりの人気店にはなると思う。

それでも、折角ついている今のお客さんを失うのは痛手だろう。






あのカフェがなくなれば、こんな時間もなくなるのかな?

甘いものを食べながらドンへと話すおやつタイムも、仕事終わりにドンへが夕飯を食べに来ることも。




……変なの。

僕だっていい大人なのに。

いちいち寂しがっていたら、この先どうするんだろう。

こんな時間だっていつまでも続くわけじゃない。

いつか、ドンへだって結婚したりするだろうし。

今の苦い恋も、叶うかもしれないし。






「…リョウガ? どうした? ぼーっとして」


ドンへが僕の顔を覗き込むように見る。


……綺麗な瞳。


「リョウガ?」

「うん」

「どうした?」

「…寂しいな、と思って」


綺麗な瞳は一気に細くなって、ドンへは優しい笑顔になった。


「まだ先だよ?」

「うん。でも、想像しちゃった」

「何を?」

「ドンへが来なくなるな…って」


僕の言葉に、ドンへは眉を八の字にして笑った。


「……俺が来ないと、寂しい?」

「……うん」


ドンへの手が僕の頭に伸びて、くしゃっと髪を撫でる。


「意外と甘えん坊だよね、リョウクは」

「…そうかも」

「来るよ……俺は、弟に甘い兄貴だから」

「うん…」



微かに、胸がチクッとした。

今から寂しがっても仕方がないのに。

甘えん坊の弟は、そろそろ兄貴離れしないといけないのかもしれない。





じゃあね、と手を振って帰っていく背中を見送る。

あの背中に、僕は今までどれだけ甘えてきたのだろう。




「…寒っ……」


春はもう、すぐそこのはずなのに。



2019.04.22 Mon l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (0) トラックバック (0) l top

<DongHae>


通勤時間のピークを過ぎた電車に揺られ出勤する。


あれからばあちゃんの様子もだいぶ落ち着いて、でもまだしばらく入院は必要らしく、リョウクは毎日開店時間を遅らせて病院に顔を出している。

ヒョクも休みの日には必ずばあちゃんのところに行っているようだけれど、忙しいのは変わっていない。

それでも、前よりもお互いのことを思いやれているみたいだ。




あの翌日、照れながらありがとうと笑ったリョウクは最強にかわいかった。

「ドンへがいてくれてよかった」

そう言ってくれた。

その言葉がどれだけ俺を舞い上がらせるか、リョウクはわかってない。



今日は遅番で、ちょうどリョウクがばあちゃんの病院から戻るくらいの時間の出勤だ。

もしかしたら会えるかも、なんて思いながら歩いていたら、カフェの前に本当にリョウクの姿を見つけた。



「リョウガ?」


声をかけて初めて、リョウクが誰かと一緒だったことに気づいた。


あれ、あの人…


カフェの中にその人が入っていったのを見送って、リョウクの所に行く。


「知り合い?」

「うん…大学の時の」

「へぇ。あの人、よくテイクアウトでサンドイッチ買いに来るよ」

「そうなんだ…」


気のせいかな?

リョウクが少し緊張しているみたいに見える。


「ばあちゃんは?」

「うん。さっき行ってきた。だいぶ良くなったよ」

「そっか。リョウクは?」

「ん?」

「無理、してるだろ? ちゃんと寝れてる?」


ふわっと、リョウクが笑う。


「ありがとう。大丈夫」

「本当かなぁ〜?」

「本当だってば! あ、でも甘いものがあったらもっと元気になるかも」


そうやって、イタズラする子どもみたいな目で俺を見るんだ。

また俺が、お前にときめくのを知らないで。


「はいはい。後でお持ちします」


俺の言葉に明るく笑って、リョウクは手を振って店に戻っていった。




—— チリン チリン ——



カフェのドアが開いて、さっきの人が出てきた。


「ありがとうございました」


声をかけると、彼は俺を見て軽く会釈した。

そして自転車に乗って商店街を離れていった。


……なんでだろ?

なんか、睨まれた気がする。



何度も店で見かけているのに、リョウクの知り合いだなんて知らなかった。

これだけ側にいても、知らないことはたくさんある。

リョウクの友達を全部知ってるわけじゃないし、リョウクの恋からも目を逸らしてきた。

今のリョウクの心に、誰かいるのかどうかもわからない。

でも、知りたいとは思わない。

知ったところでどうにもならないし、俺はリョウクを想うことをやめられないから。







その日の閉店後、大事な話があるからとソンミニヒョンに呼び止められた。



「……えっ……?」


ヒョン、今なんて言った?


「まだどうなるかちゃんと決まったわけではないけれど、今叔母さんが移転先探してる」

「じゃあ、ここは?」

「この建物自体が取り壊しになるから、それまでの間、ってことになると思うよ」

「どこに移転するの?」

「決まってない。でも探すの結構厳しいみたいで、最悪閉店もあり得るって」



そんな……。


俺、仕事どうなるの?



2019.04.21 Sun l 《好きシリーズ①》好きだなんて言えない【完】 l コメント (0) トラックバック (0) l top