Sun 09/15 2019

アンバランス 1

20:002
アンバランス【完】


<RyeoWook>



深夜。


気怠い身体をひきずるみたいに自室に戻り、コートと荷物を置くと、着替えを手に浴室に向かう。


シャワーならついさっきも浴びたのに、やっぱりまだなにか身体に残っている気がして落ちつかない。


こんなことに大して意味がないことなんか、自分が一番よくわかっている。


でも、やめられない。


この澱は、どこかで吐き出さないと溜まっていく一方だから。


なにも手当たり次第に寝てるわけじゃない。


女の子には手を出さない。


特定の誰かを決めない。


決して僕に真剣にならない人だけ。


遊びで終われる人だけ。







キッチンで水を飲んでいると、カチャリと小さくドアが開く音が鳴った。


「……おかえり」

「うん……起こした?」

「いや、起きてた」

「ゲーム?」

「ん」


学生寮の中でも同い年のキュヒョンとは親友といってもいい関係で、僕のくだらない行動も唯一気づいている。

でも、その理由まで気づいているかはわからない。

話したことなどないし、いくらキュヒョンと言えどもこれからも話すつもりはない。


「今日は誰?」

「この間の合コンに来てた人」

「ふーん」

「……なに?」

「いや、いつまで続けるんだろうと思って」


…そんなの、僕が知りたい。


「……キュヒョンには関係ないじゃん」

「……そうだけど…」

「…じゃあ、キュヒョナが相手してくれる?」

「…それはゴメンだよ」

「僕だってゴメンだよ」







大学に入学してすぐ、僕は恋に落ちた。


相手はバイト先の先輩で、2駅離れた大学に通う4年生だった。

気さくで、話すと楽しくて、ちょっと遊んでる風ではあったけれど、すごくかわいがってもらった。


先輩の就職も決まって卒業式を終えたころ、いよいよバイトも辞めることになってその日は送別会が開かれた。

未成年でまだ飲めなかった僕は、酔っ払った先輩をアパートまで送った。

鍵を開けて部屋に入りベッドに先輩を寝かせたはずが、気がつくと組み敷かれていた。


先輩が、どういうつもりだったのかはわからない。

でも僕は、その腕にすがりついた。

先輩も僕を好きなのかもと期待して、そしてそれは翌朝見事に砕け散った。


"酔った勢い"

"気の迷い"


好きな人の口から出てくる言葉に、僕は曖昧に笑うしかなかった。






男なんて、そんなもん。



そしてそれは、今の僕だって同じだ。





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