Tue 01/01 2019

ズルい男 〜 触れる想い 番外編

20:000
触れる想い【完】


<SungMin>


「僕ね、ヨンウニヒョンのこと、
好きかもしれない」


ヒョクにそう言ったのは、僕のズルさ。




性格的にはそんなことないのだけど、身長のせいか顔立ちのせいか、男っぽく見られないのが悩みの1つ。

むしろ後輩のリョウクと一緒に話したりしてると、"女子会"なんて言われる始末。

だから、僕にとってヨンウニヒョンは男らしさのお手本みたいな存在だったんだ。



豪快な性格も行動も。

意外と可愛らしくなる笑顔も。



憧れるのは、当たり前。

目が向くのも、当たり前。


惹かれるのも、当たり前。




いつもヨンウニヒョンを見ていたから、ヨンウニヒョンが見ているのが誰かもわかってしまう。



惹かれて当然の人だと思った。

素直で、明るくて、人懐こくて、優しくて。

ヒョクを嫌う人なんているんだろうか?




うらやましい。


うらやましい。






あのBBQの日。


ヨンウニヒョンに手を引かれてやって来たヒョクの表情を見て、僕の心は一気に曇った。


気づいてしまったんだね。

それまでも、ヒョクがヨンウニヒョンを見ていると感じることはあったけど、まだ自覚していないように思えていたのに。



どうしよう。


今、僕の気持ちを打ち明けたらどうなるかな?

きっとヒョクは優しいから、ヨンウニヒョンの事を諦めようとするんじゃないかな?




ズルい、作戦に出た。



「え…あ…そうなの?」

「うん…びっくりするよね。こんなこと聞いても」

「あ…うん…そうだね…」

「…ひく? 男の人が好きとか言ったら」

「いや……ううん、ごめんヒョン、俺トイレ」




動揺するヒョクを見ても、僕はどこか冷静だった。

これで牽制出来たと安堵する気持ちと、ヒョクに対する罪悪感。

その両方が胸にある状態を、仕方ないよね、なんて思ってた。




けれど、戻ってきたヒョクがとった行動は、予想外のものだった。

動揺が治りきらない表情のままヒョクが立ったのは、ヨンウニヒョンの隣だった。

嬉しそうに、ヨンウニヒョンが笑いかける。

その声に、ヒョクの動揺は消えてなくなり、ただの恋する男の顔になった。



一拍おいて、ハッとして顔をあげる。

僕と目が合った。

すぐに、僕の方が視線を逸らした。


僕の作戦が、失敗したことを悟った。

ヒョクの顔が、その行動が無意識だったことを語っていた。

牽制したり、冷静に考えたりしている僕の『好き』とは違うんだと思った。

敵わないと思った。



やっぱり神様は、ズルを許さないのかな。








いい雰囲気で付き合いだしたのかと思ったのに、様子がおかしくなった。

ヨンウニヒョンが、ヒョクを避けてる。

ヒョクの笑顔に、無理がある。

時々、思いつめたみたいな顔でヨンウニヒョンを見てる。



そしてとうとう、ヒョクが泣き腫らした目をして出社してきた。

…これは…。



悩んだけど、余計なお世話かもしれないけど。

僕はお節介を焼くことに決めた。

気軽に相談出来るような恋愛じゃない。

だからきっと、何かあってもどんどん膿みたいに溜まっていくだけで、どうにもならなくなってしまうんだろう。

あれ以来ヨンウニヒョンの話はしてこなかったけど、でもこんなヒョク、放っておけない。





「僕が前にあんなこと言ったからヒョクがずっと気にしてるんじゃないか、って」


本当は僕のことなんて関係ないとは思ったけど、万が一そうだったら申し訳ないし、話のきっかけも欲しかった。



ヒョクの答えは、僕の予想の斜め上だった。



…ヨンウニヒョンに彼女?

嘘でしょ?

どう考えても、ヨンウニヒョンが好きなのはヒョクなのに。

ヒョクを避けてる今でさえ、ヒョンはヒョクを見てる。

ヒョクの気づかないところで。



どうするのがいいんだろう。

ヒョンに問い詰めてみる?




「…もう、終わりにするんだ。俺…」


ヒョクのその声に、もう決めたのだとわかった。

僕が、何もしちゃいけないことも。



僕の作戦は、失敗するのがオチなんだから。



「……話でも、お酒でも、いつでも付き合うから。
ひとりで溜め込んだりしないでね」


それしか言えなかった。

せめて、ヒョクが溜め込まなくてもいいように。

ひとりで泣かなくてもいいように。





それが、

ズルい僕の、

せめてもの罪滅ぼしだから。


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